札幌市内におけるパート薬剤師の働き方と求人動向〜薬局の人事担当が語る〜

夜間や休日に営業する調剤薬局を中心に、パート薬剤師を積極的に活用する薬局が札幌市内には数多く存在します。働き方改革に伴う残業時間の削減や年次有給休暇の消化促進を目的に、パート薬剤師を採用する動きも見られます。

札幌市内でのパート薬剤師の求人動向や時給相場・応募時のチェックポイントについて、調剤薬局に特化して詳しく解説します。

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人事担当者が見た札幌市内の薬剤師転職事情

札幌市内での薬剤師求人数は約600件、うち約160件がパートの求人です(2019年12月10日現在、薬キャリ)。1つの薬局で複数の求人を掲載するケースがあり、実際に薬剤師を募集している施設は400か所前後と考えられます。

薬局運営に支障をきたすほどの薬剤師不足は収束傾向にあるものの、良好な就業環境を求める転職ニーズが多く、年間を通じて求人が展開されています。薬局の人事担当者にも、年間100通以上のエントリーシートが届いているのが実情です(紹介会社2社を利用)。

紹介会社のエントリーシートから見る転職理由ベスト3

転職理由の中で2018年頃から目立っているのが、入職時との労働条件の相違です。薬剤師1名あたりの処方箋対応数の増加や、営業体系の変更に伴う勤務体系の調整を敬遠する傾向がみられ、「同じ給料なら楽な環境で働きたい」ニーズがうかがえます。

パート薬剤師に限定すると、育児・家庭環境の変化に応じて勤務日時を柔軟に変更したいことを理由に転職する事例もあります。採用する側としては、労働環境が変わる可能性について、面接時や雇用契約締結時に薬剤師へ十分説明し、理解を得ておく必要があることに留意したいものです。

人間関係の改善も、転職理由としては多くなっています。調剤薬局や小規模クリニックの院内薬局は少人数で業務を進める環境であり、人間関係が悪化した場合には当事者間での調整よりも転職を選ぶ薬剤師もいるようです。

上司や人事担当者が調整に入って関係改善を実現できるケースと、多忙を理由に当事者間と十分な調整ができないケースに二分されています。年収アップを目指す薬剤師は10名中2~3名で、2016年頃と比べると少ない印象です。

給与面での競合を回避すべく前職の年収を保障する流れも見られますが、既存職員とのバランスを考慮して、初年度の年収は管理職・ベテラン職員の給与を上回らないよう設定されるケースが大半です。

パート薬剤師の働き方と薬局が考えるニーズ

パート薬剤師が働く曜日と時間帯は雇用契約書で決められていて、残業や休日出勤については事前相談を経て行われるのが一般的です。薬剤師と薬局が合意の上で、所定の勤務日時を変更したシフトが組まれるケースもあります。

自分の終業時刻が過ぎても、薬局が混み合っている時には事情が許す範囲で自発的に残業するパート薬剤師もみられ、管理職として重宝する一面もあります。残業管理を厳格に行う薬局もあるので、終業時刻を超えて患者さん対応を行う場合のルールを取り決めておくと安心です。

副業(ダブルワーク)を通じて収入アップと技術力向上を目指す薬剤師も増加傾向です。2018年1月に厚生労働省から「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が発表されましたが、2019年9月時点では中小企業の25%で副業を容認しているとされています(エンジャパン株式会社「中小企業の『副業・兼業』実態調査)。

薬局目線では、夜間・休日などの人員を手厚くしたいニーズと合致したと考えられ、本業を持つ薬剤師を積極的に受け入れる薬局もみられます。管理薬剤師であっても、保健所の許可を得て別の薬局でパート勤務できる場合があり、札幌市保健所では管理する薬局の営業時間外であれば副業(管理者兼務)を認めるスタンスのようです。

薬剤師免許は、雇用区分によって実施可能な業務に制限は設けられておらず、高度専門職としての責任も同一です。そのため、正社員と同じプロ意識が求められ、医薬品を直接計量・調合するプロセスや監査・服薬指導など薬剤師固有の業務についても、正社員と同じクオリティが求められます。

実際に、正社員よりもパート薬剤師の技術が優れている薬局があるくらいです。業務の評価によっては正社員登用のオファーを受けたり、パート薬剤師のリーダーへの任命を受けたりすることもあり、働き方の幅が広がりそうです。

パート薬剤師の時給は2,000円が相場

札幌市内のパート薬剤師求人をチェックすると時給2,000円を提示する薬局が半数以上で、勤務時間帯によっては2,500円~3,000円を提示する薬局もみられます。

ちなみに、時給2,000円でフルタイム(月間172時間)勤務した場合は年収420万円相当、北海道内で勤務する薬剤師の平均年収(約518万円)の81%です。勤務日時の制約や管理業務の有無を考慮すると、同一労働同一賃金の趣旨におおむね合致した待遇差と考えられます。

ただ、2018年4月の調剤報酬改定を皮切りに対人(患者さんと向き合う)業務が重視されており、昇給を通じて待遇改善を検討する薬局も出始めています。仮にパート薬剤師の時給を2,300円に設定すると年収ベースで約475万円となり、正社員との格差は縮まるでしょう。

求人の探し方と応募時の注意点

紹介会社(転職エージェント)を使って転職先を探す薬剤師が大多数ですが、薬局の公式サイトやハローワークでも好条件の求人に出会うことができます。紹介会社に支払う手数料が年収の25%〜30%(月給に直すと約3か月分)となるため、手数料が発生しないルートでの応募を歓迎するのが採用担当者の本音です。

自分での条件交渉に抵抗がある薬剤師もいるようですが、薬剤師の採用現場では、給与面を含む勤務条件の交渉が伴うものだと認識されています。そのため、希望条件を丁重に相談していけば調整に応じてくれる場面も多いと思われます。

紹介会社を経由しない場合には、時給アップを含めた好条件の提示もあり得ます。応募時の注意点としては、応募する薬局を選んだ動機を説明できるようにしておくことです。札幌市内では自宅近くの職場を選択する傾向がみられることから、通勤時間が30分以上かかる場合には近所の薬局を選ばなかった事情についても質問されることも考えられます。

面接時には、言葉遣いなどの礼儀作法への気配りが必要です。事務職等と比べ薬剤師の場合は応募数自体が少ないため、薬局としては応募者の人柄に問題がなければ採用するスタンスを持っています。反面、横柄な態度で面接に臨んでしまうと、患者さん目線での対応ができない薬剤師という印象を抱かれ、技術や学術知識が豊富でも不採用とされてしまいます。

パート薬剤師も、薬局の一員として迎え入れてほしいという思いで面接に臨むとよいでしょう。